2008年5月23日(金)16:19

ドイツ連邦参議院は最終的にリスボン条約を承認

ベルリン(ドイツ通信社dpa)

ドイツ連邦参議院は首都ベルリンの賛成票なしで、EU諸機構の改革を定めたリスボン条約を最終的に承認した。これにより同条約はドイツにおいて最後の議会のハードルを越えたことになる。

発効にはホルスト・ケーラー大統領の署名を待つだけである。しかし条約に反対している議員は憲法裁判所に訴訟を起こし、大統領の署名を阻止する構えである。欧州委員会のジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長は議会の審議結果を歓迎する声明を発表した。

ベルリンのクラウス・ヴォーヴェライト市長(社会民主党SPD)はベルリンで連立を組む左派党(die Linke)の圧力を受け、金曜日の審議では最後の瞬間にリスボン条約に対する棄権を決めた。これによりヴォーヴェライト市長は左派系2政党の連立危機を回避した。しかし市長はこの譲歩により、キリスト教民主同盟・社会同盟(Union)および自由民主党(FDP)から厳しく批判された。左派党は非社会的で軍国主義的としてリスボン条約を断固拒否している。ベルリン市の連立条約では、連立与党間で意見の分かれる場合には連邦参議院で棄権することが定められている。

連邦議会はリスボン条約をすでに先月ほぼ90パーセントの賛成で承認している。政党としては唯一左派党が全員反対票を投じた。欧州連合は当初計画の欧州憲法に代わるこの条約により、さらに権限を拡大する。その一方で民主的な基盤も強化される。今のところ加盟全27ヶ国中13ヶ国が批准を終えている。発効は2009年が予定されている。

しかしキリスト教社会同盟(CSU)のペーター・ガウヴァイラー議員は、金曜日に連邦憲法裁判所に訴状を提出し、発効を阻止する意向である。ガウヴァイラー議員はリスボン条約により連邦議員の権限が剥奪されると訴えている。環境民主党die Okologisch-Demokratische Partei (odp)や左派党の議員も訴訟を起こす構えである。後に廃案となった欧州憲法についてケーラー大統領は2006年に署名を行わなかった。その理由はガウヴァイラー議員らが憲法裁判所に訴えていたからである。大統領はカールスルーエの憲法裁判所の判断を待つ考えであった。しかしこの大統領の姿勢に対しては連立政権内から不満の声が上がっていた。

ヴォーヴェライト市長は市司法相のギーゼラ・フォン・デア・アウエ議員(同じくSPD)に棄権表明を委ねた。これは反対票と見なされた。市長はその直後「これにより(左派党党首の)オスカー・ラフォンテーヌは自ら、左派党が政権担当の能力も意欲も持っていないことを証明した」と述べた。キリスト教民主同盟(CDU)のロナルド・ポファラ幹事長はベルリン市の決定を「恥ずかしいこと」と批判した。ヴォーヴェライト市長には「原則もなければ気骨もない」。「SPDが左派党と組んだのは致命的な誤りであることがいよいよ明らかになった」、と述べた。

ヴォーヴェライト市長は票決の後、リスボン条約への賛成多数はベルリンの票には左右されていなかったと説明し、「もしそうなら私も心配し、ベルリンは全員一致で賛成票を投じただろう。たとえそれによりベルリンの連立が危機に陥ろうとも」と語った。左派党を代表して市経済相のハーラルト・ヴォルフ議員は、「私たちはラフォンテーヌ氏の圧力は受けていない」。左派党は欧州統合には賛成だが、社会的な欧州を主張しているのだ、と語った。

ラインラント・プファルツの州首相を務めるSPDのクルト・ベック党首は、リスボン条約を「欧州統合進展の一里塚」と称賛し、欧州統合の社会的次元はあきらかに高まると述べた。バイエルンのギュンター・ベックシュタイン州首相(CSU)は連邦参議院で、市民は「超国家EU」などを望んではいないと主張した。EUは連邦国家になってはならず、最終的な法的権限は加盟国が維持せねばならないというバイエルン州の動議は賛成多数を得られなかった。

リスボン条約によりEUには2009年から2年半任期のEU大統領(常任議長)職が設けられる予定である。またEUの外交政策は一本化され、多数決決定は拡大し、欧州市民の直接請願制度も導入される。

原題:Bundesrat billigt endgueltig EU-Vertrag




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